人生に寄り添うように、JEFF BECKはいた。
兎に角、ギターだけで自己表現をするJEFF BECKは唯々、格好が良かった。ロックとプロレスに魅入られた愚かな昭和の少年の、最も重要な価値観は、カッコイイ事、それが最強だ。
だからスターサイクルが新日本プロレスで流れた時は“最強“だった。

旅立ったJEFF BECKとA猪木、喪失感が犇々と、足元から喉元に上って来る。
コンサートでも「thank you」以外、JEFF BECK先生の御発声は、ほぼなかった。
しかし、甘美で、挑戦的で、最新鋭で、唯一無二の演奏、JEFF BECKのギターは饒舌だった。

私のちっぽけな人生の中に立っているロックとプロレス、JEFF BECKと猪木という道標は、ここまで。
もう終わりとなってしまった。